「会社はしっかり対応してくれる?」
「パタハラがあった時はどうしたらいい?」
妊娠、出産をした女性への嫌がらせをマタニティハラスメント、育児のための制度を利用しようとしている男性への嫌がらせをパタニティハラスメントといいます。
パタニティハラスメントを略したパタハラという言葉がニュースなどでよく聞くようになりました。
近年では国として男性の育児休業取得を推進していることもありハラスメントを受ける事は以前に比べれば少なくなっていると思います。
私は育休を取得するまではこれだけ男性の育休取得に対するハラスメントがニュースなどでも取り上げられている中で嫌がらせをしようとする人はさすがにいないのではと思っていました。
実際にはハラスメントまだまだたくさんあります。
これだけ世の中で問題視されているにも関わらずハラスメントを平然と行う人がいます。
男性の育児休業取得で考えられるハラスメントをまとめてみました。
目次 Contents
言葉によるハラスメント
まず男性の育休取得によるハラスメントは言葉によるものがあります。
言葉によるハラスメントは育児休業を取得する意向を上司に伝えた時から始まります。
「男性が育児休業を取得する必要なんてない」
「休みたいだけだろ」
育児休業の取得する意向を伝えている段階では男性の育児休業取得を止めるような内容の言葉が多く、まだ攻撃的なものではありません。
育児休業取得を止めさせる事を目的とした内容です。
それでも部下が育児休業を取得することを止めず、本格的に育児休業を取得することになると上司の態度が変わってきます。
「いなくなった後の仕事はどうするんだよ」
「最低なやつだな」
育児休業を取得することが決定してからは攻撃的な内容になります。
この段階になると説得ではなく育児休業を取得することに対する憂さ晴らしへと変わっています。
人事評価の時期になると育児休業取得者に対して人事評価を利用したハラスメントを行います。
「今期の評価は覚悟しておいた方がいい」
育児休業を取得したことで評価を下げるといった発言をしてきます。
このような言葉による様々なハラスメントを受けます。
言葉によるハラスメントは同席者がいればはっきりとした証拠になるので人事部などの関連部署に相談することでハラスメントとして扱われやすいと思います。
人事評価を下げようとするハラスメント
育児休業を取得したことで評価を下げようとするハラスメントがあります。
育児休業取得で評価を下げられるデメリットは育児休業取得後の人事評価にも影響が及ぶ可能性がある事です。
直近何年かの評価を合算した通期での評価で昇格審査の判定をしようとする会社は多いです。
育児休業取得した年度の評価が下がるだけであればまだ理解はできます。
育児休業を取得した年度の評価が著しく低かった場合にはしばらく昇格試験を受ける事ができなくなる可能性が高くなります。
職場復帰した後に真面目に働いていても育児休業取得した年度の低評価が足を引っ張られます。
会社の人事評価が曖昧な基準で判定されるような制度であった場合には不当な評価であってもその評価を覆すことは困難です。
そもそも曖昧な基準で評価をつけているため不当な評価であることを客観的に証明することが難しいからです。
会社の評価制度が曖昧な基準で決定されるものであればハラスメントとして利用されやすいです。
明確な基準で判定される評価制度であれば隙が全くないためハラスメントに利用することはできません。
昇格試験を受けさせないようにするハラスメント
育児休業を取得することで昇格試験を受けさせないようにするハラスメントがあります。
このハラスメントとしては病院に勤務する男性従業員が育児休業を取得したことで昇格試験を受けさせてもらえなかったことは不当だと慰謝料を求めて提訴した事例が有名です。
結果は育児介護休業法から違法であることが認められて病院側が慰謝料を支払うことになりました。
昇格試験の審査要件が曖昧な内容であればハラスメントに利用されやすいです。
曖昧な審査要件があればそれらしい理由をつけて昇格試験を受けさせないようにすることは簡単だからです。
不当な人事異動をさせるハラスメント
育児休業を取得したことで部署を異動させられる可能性があります。
このハラスメントとしてはスポーツ用品大手アシックスの男性従業員が育児休業を取得したことで不当な人事異動を受けたことが有名です。
アシックスの男性従業員は慰謝料を求めた訴訟は2021和解が成立しています。
ハラスメントを受けた時の対応
ハラスメントを受けた時の対応としてはいくつかの方法があります。
まず会社のハラスメント窓口に相談する事ができます。
2020年に会社にはハラスメント相談窓口の設置が大企業に義務付けられました。
この場合はハラスメント窓口の担当者に相談することになります。
ハラスメント窓口に相談しても解決しないことがあります。
ハラスメント相談窓口の担当者はそもそも社内の人間であり、公平な判断をしない可能性も考えられます。
ハラスメント窓口に相談した結果、ハラスメントを行った上司と仲のいい人物が仲裁人として現れ、被害者の意見を丸め込もうとしようとすることもあるようです。
社内のハラスメント相談窓口では問題が解決しない場合や会社自体を信用していないような状況、そもそもハラスメント相談窓口が設置されていない状況では外部の人間に相談する必要があります。
外部の相談窓口には都道府県労働局長による援助を受ける方法があります。
都道府県労働局長による援助を受けたい場合は都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ電話または手紙で相談できます。
相談内容に応じて紛争解決援助制度、法律の内容について情報提供してくれます。
雇用環境均等部(室)は労働者と事業主の間に入り必要であれば事業主に対して指導を行ってくれます。
対象者はあくまで当事者である労働者および事業主であり、特定の上司などの個人が相手の場合は対象外です。
相談先は労働者が働いている都道府県の労働局へ相談する必要があります。
本社が東京都であっても実際に労働している都道府県の労働局への相談で問題ないようです。
相談窓口への連絡先は雇用環境均等部(室)の所在地一覧に記載されています。
→雇用環境均等部(室)の所在地一覧
相談の流れとしては電話をするとハラスメントの経緯を確認してくれます。
内容を確認して問題を解決するために労働者がこれから行うべきことをアドバイスしてくれます。
まとめ:男性の育休取得には様々な形でハラスメントが今でもある
パタハラという言葉がこれだけ世の中に浸透しても男性の育児休業取得者に対するハラスメントはなくなりません。
コンプライアンス意識の低い上司だけではなく会社としても対応しようとする気があまりないのかもしれません。
日本ではこれから先も男性の育児休業取得者に対する風当たりの強さは変わらず、ハラスメントはなくならないと思います。
育児休業を取得する場合はこれらのハラスメントをある程度は覚悟して取得した方がいいです。
この記事が育児休業取得を検討している男性にとって参考になればいいです。